愛と調和
2020年12月発売。SUGIZOのアルバム作品。
縄文時代、屋久杉にインスピレーションを受けたアンビエントな作品・・・
と前評判で聞いて、そんなスピリチュアルな作品に自分がついて行けるのか!?…と不安を抱いたが、思いの外すんなりイケた。笑
先行曲「Nova Terra」を聞いたら、ギターの和音や音色がSUGIZOだったので、なんて事はなかった。
10曲中7曲がインストで、アルバムの根幹を成している。これまでのアルバムのようなビートの効いたエレクトロニックサウンドではなく、落ち着いた曲調が並ぶので、繰り返し聴いていても疲れない。
良い感じに溶け込んで、流れていく。
優しく、繊細で、壮大である。
また、アルバムに収録された3曲のボーカル曲が素晴らしく良い。
miwaと大黒摩季、アイナ・ジ・エンドがゲストボーカルで参加しており、アルバムに花を添える。これ等の楽曲は、ガンダムの40th記念アルバムやアニメ(ジビエートED曲)で採用された既存曲であるため、他のインスト曲との繋がりが難しそうに思えたが、ものすごく絶妙な配置で、インスト曲、ボーカル曲、お互い引き立て合っている。
3曲目のmiwaとのコラボ曲「A Red Ray」が特に好き。SUGIZOの曲って、実は女性ボーカルの方が映えるのかも、と思うほどに良い。
にしても、この曲や、LUNA SEAの最新アルバム『CROSS』の「THE BEYOND」「宇宙の詩」等、歌もののSUGIZOの作曲能力は史上最高に達していると感じる。
LUNA SEA - 「宇宙の詩 〜Higher and Higher〜」MV
SUGIZOのメロディは昔から「クラシカルで無駄を削ぎ落とした本質的な音」という印象。YOSHIKIの曲も似たような印象なのだが、YOSHIKIの曲は右脳的というか、聞いていて感情が乗りやすい。一方、SUGIZOの曲は左脳的な感じで、聞き手としては感情が捉えにくく、ファンでありながらそんなメロディに退屈さを覚えてしまっていた。しかし、ここにきて曲の強度が増して、そんな壁を突き抜けてきた感がある。すごい。
この『愛と調和』を手にしてから、家のリビングで毎日エンドレスリピートしている。妻もそれを許してくれているのでありがたい。笑
本作のインタビュー記事(下記リンク)を見つけた。作成に至る背景が知れて興味深い。元々は女性ゲストボーカルもののアルバム(要は『ONENESS M』の女性版で、しかもソウル・ジャズ系!)を作ろうとしていたけど、コロナ禍でその案は断念せざるを得ず、この形になったと。SUGIZOも前からアンビエント作品を作りたかったようで、それ等の要素がうまく融合している。本当に見事な着地としか言えん。