Dear LIFE
SUGIZOの2002年11月のシングルCD。
前作「Super Love」はリリース当時からお気に入りだったが、この「Dear LIFE」はピンとこなかった。この度、CDを手に入れたので久しぶりに聞いた。
曲・アレンジについて
リズムパターンは単調かつ、ドラムのフィルインもないため、一聴すると曲のメリハリがないように聞こえた。一方、ギターアレンジはSUGIZOサウンド全開でエモい。ワウペダルを駆使して弦をかき鳴らしたり、大サビではグリッサンドが唸ったり、雄弁な音像で感情を揺さぶってくる。なんとなくLUNA SEAっぽいギターアプローチ。
そして、1回聞いただけでメロディが脳内に残留する。SUGIZOらしいメロディラインだ。「Dear LIFE」の部分を中心にクセになり、聞いていない時も口ずさんでしまう。
単調に感じたリズムだったが、それが全体の雰囲気を落ち着けている。過剰な演習を抑える事で、リスナーがお腹いっぱいになる事がなく、飽きを生まずに繰り返し聴く事を可能にしている。ジワジワ好きになっていく。
歌詞について
そう、アイツは命を途中で全て放棄した
あの人は人生の続きを失った
この曲はSUGIZOの大切な人が亡くなったことにより作られたものとのこと。上記で引用した歌詞が一番象徴的で、直接的な歌詞である。前作の「SUPER LOVE」とは雰囲気が180度異なり、シリアスである。そして、歌詞はこう続いていく。
ねぇ、お願いだから
一つでいいから
生まれた意味を見つけるまで
逃がさないで 殺さないで
輝くカケラを
いま生きている人達に向けての、切実で、渾身のメッセージという感じ。(※個人的な話。ふいにこの歌詞を見て「自分の生まれた意味はなんだろう」と考えてしまう。仕事があって、家庭があって、すでに結構手一杯であるが、さらにこれからの人生において自分は何を成し遂げる事ができるのだろうか。。。成し遂げられないとしても、これからも人生に挑戦し続けたいと思う。欲張りだとも思うが、自分なりに力を注いで、自分らしい軌跡を残していく事が生きる意味、かな。)
傷つくためじゃなくて
戦うためじゃなくて
憎みあうためじゃなくて
愛し合えれば
Dear LIFE 輝いて 輝いて
大サビの歌詞は、SUGIZO節全開の切実なメッセージそのままである。PVにもそれが表れているように思う。
PVについて
政治や社会問題に積極的に関与するSUGIZOらしいものになっている。2002年の頃にはすでに自分の生きる意味を見つけ出して歩き出しているのが、このPVを見ても分かる。
「音楽に政治を持ち込むな」的な事が言われがちなこの国で「知ってしまった以上、無視はできない」的なことを言い(出典不明)、自分の生命・時間を削り、弱者に目を向けた活動を一貫して続ける姿は本当に尊い。圧倒的な才能で音楽だけを純粋にやることも出来るのに、世の中の問題と常に向き合い、自分のできる事を続けている。マジでカッコ良すぎる。
下記は、パレスチナの難民キャンプで行ったライブに関する記事。
(※またまた個人的な話。私自身、「知ってしまった以上、無視はできない」という言葉には強い影響を受けていると思う。私が、家事や育児を主体的にやろうと思うのは、それが楽しいからというのもあるが、それで思い悩む事を妻一人に背負わせたくない、という理由が大きい。苦しい思いをしている人が近くにいるのに、それを無視して生活するというのは違うだろう。苦しみや悲しみを共有して、自分の資源(主に時間)を分け合う事が『愛』だと思っている。)
切なる思いを秘めたスギ様のPV後半の歌唱は、史上最強にエモい。↑ 4:19の渾身のディアライ!を是非聴いて!!
おまけ
「Dear LIFE」ライブでの歌唱映像
割と最近の弾き語り映像!
SUGIZO :: Dear Life [Thai Sub] // Earth Day Tokyo 2016 [Source: shusei ch3 ]
Tosilが歌う「Dear LIFE」
これもまた良き。Toshlの声の持つ説得力は半端ない。SUGIZOのコーラスは天下一品。
Toshi - 2010.02.24 - 赤坂BLITZ - LAST CONCERT - Dear Life in HD
シングルverについて
ちなみに、このシングルverは、アルバムver(『CLEAR』収録)より出だしのAメロがスッキリ始まり、曲の解像度が高いと思います。買って損なしです!