いそいそと1人部活

己を知る取り組みとしてのブログ

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曽我辺恵一BAND『六月の鯨』

 

子ども達が寝静まったあとに音楽DVDの整理にとりかかった。

片付けながら、なにかを流しておこうと『六月の鯨』を手に取る。曾我辺恵一バンド、2008年、広島でのライブ映像。デッキにセットすると無骨な作りのメニュー画面が立ち上がる。


1曲目は「恋人たちのロック」。なんとなくこの曲が聞きたいと思ったからこのDVDを観ようと思った。観客を背にし、ドラムセットの前に弦楽器隊3人が集まる。4人の佇まいから「やってやる」というオーラがみなぎっている。緊張感。そこから一気に曲になだれ込む。激しい頭打ちのリズムにヘッドバンキングする演者達。実際にライブに足を運んで何度も見た光景だ。…青春。夢中になっていた感情がよみがえる。1曲目からフルテンまでテンションを上げるのがソカバンのライブ。「1曲目から燃え尽きる気持ちでやっている」と当時の曾我辺さんは言っていた。本当にその通りの熱さ。

 

そして「東京ストーリー」「天使」「結婚しよう」「キラキラ」そしてトモくんの「海の向こうで」と当時のベストトラックを次々に叩き込む。素晴らしい。淀みないロックンロールの熱い湯が流れていく。

 

スタバでサインを求められたMCから「有名になりたい」に入る。最近の曽我辺さんのインタビュー(※)で「ソカバンのときは分かりやすさを考えていたこともあり、結果的に何も残っていない」的な、この時期のことを割とネガティブにとらえた発言を目にした。確かにMCも明るいし、「テレフォンラブ」のコール&レスポンスなんかが、そういった発言に繋がるのかなと思った。…でもですよ。ソカバンの時代の演奏は、単純に底抜けに明るくて、がむしゃらで、聴き手からするととても勇気がもらえる。その姿勢から伝わってくるものがあるのだ。

 

後半戦、「あたらしいうた」。当時はあんまり好いて聞いていなかった曲だけど、爆音で疾走して、会場みんなで歌って完成する曲だったんだなと知る。すごく良い。歌詞やメロディ、演奏技術といったものは超越している。「胸いっぱい」とかその後に続く曲も基本そんな感じ。もはや自分が何を聞いているのかも分からなくなってくる。ただただ、演者と観客が一つの音の塊となって転がっていく。ロックミュージックってこうあるべきだ、なんて思わせられる説得力がある。

 

(※)対バンをして「こっちの方が盛り上がっているように見せたい」とかあるじゃん。振り返ればそういうことばっかりをやっていた時期があった。 ・・・ソカバンのとき。「これくらいの方が分かりやすいんじゃないか?」とかさ、そういうことばかりを考えてた。結果として何も残ってないし、自分がエグいなと思った。俺は何をやりたかったんだっけ? と見つめ直すきっかけになったね。

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