吉井和哉の自伝を読んで「天国旅行」という曲を聴いてしまって以来、THE YELLOW MONKEYばかり聴いている。
YouTubeで「球根」発売当時のTV出演動画を見た。
※元動画は削除されてしまいました。
何年前の映像?
もう25年くらい?
吉井和哉は長髪のパーマに赤いロングコートの出で立ち。
シリアスに淡々と歌い始める。
顔のアップが映る。
やはり、
美形である。
髪の毛 手のひら 愛の光
出だしの歌詞から違和感。普通「君の髪、君の手」とかでぼんやり表現しがちだけど、言葉を選んで、焦点を絞って、聴き手に生々しさを感じさせるの、さすが。髪の毛って「髪の毛が口の中に入った!」とか「あいつの髪の毛を人形に入れて呪ってやる!」みたいな負の状況の時に使うイメージ。 ※英語版の球根(BULB)では、The smell of your hair, the touch of your hand, となってしまって、日本語のニュアンスは消えてしまっているように感じて少し残念…。でも面白いのは「髪の匂い」「手の感触」と五感で表現して、生々しさを残しているところ。
Bメロからギターをかき鳴らす激し目のバンドサウンドになって、サビでは顔をぐしゃぐしゃに歪めて熱唱する。カッコ良過ぎて画面に惹きつけられる。アレンジが極めてシンプルな分、吉井和哉の歌唱が引き立つ。
夜の叫び 生命のスタッカート
「生命のスタッカート」ですよ、皆さん。これは心臓の鼓動のことなのか、腰を打ちつけることなのか、射〇のことなのか、明確には分からないが、なんとも力強い表現であり、聞き手に色々と想像力を働かせてくれる。
吉井和哉は表現したい、表現したい何かを言葉に変換するのが天才的に上手い。しかも、メロディの合わせ方、歌い方もべったり噛み合ってて気持ち良い。
曲のラストの「ふんな~あぁ」の繰り返しで聞き手は昇天する。(※ただの叫びかと思ってたら、ちゃんと「花」って歌詞がついてましたね。こういうの地味にすごい。天才的です)
ロックと歌謡曲という吉井和哉のバックグラウンド直結で、なおかつ自分だけの表現に振り切れている。一点の隙もない。こんな表現できる人、他にいるのか。しかもこんなメインストリームで。球根はオリコン1位とってるし。はんばない。(※チャートからはすぐに落ちてしまいましたが…。異様な熱がある曲なので、ファンは受け入れたもののメインストリームにはあまり受け入れられなかったというのは、納得はできます)
吉井和哉自身も10年に一度の名曲が出来たとか、X JAPANの hideもこの『球根』を絶賛したとか。作り手側からしたら、こんな曲が作れたら死んでも良いと思えるくらいの大名曲だろな。
THE YELLOW MONKEYの歌は(特にこの97〜98年の頃は)、吉井和哉の自我にしっかり根を張っているのが良い。「天国旅行」とか「球根」はむき出しの吉井和哉が味わえる。もろに吉井和哉な感じなんだけど、吉井和哉じゃない私でも悶えるほどに共感できるのが一番すごい。語彙力。
《追記》
他の方が『球根』について書かれているブログを読み漁りましたが、歌詞のに対する考察がとても面白いですね。私は表層的にしかみてなかったなと思いながら、どのブログの考察にも感心してしまいました。是非、当ブログ以外の『球根』に関する記事を読んでほしいです。多面的に捉えられる、味わえるこの曲、まさに芸術。
ソロ活動時期(2011年)にライブで披露された球根に対する感想など