昨年度の2次試験の振り返りをした。試験当日の解答は自分のクセがすごくて、興味深い。R1事例1の第1問から猛省だったので、その記録。
【設問文】
A社社長がトップに就任する以前のA社は、苦境を打破するために、自社製品のメンテナンスの事業化に取り組んできた。それが結果的にビジネスとして成功しなかった最大の理由は何か100字以内で答えよ。
(与件文を読んでの思い)
たばこ産業は衰退市場なんだから、勝ち目のない枠の中で新たな事業を始めること自体がやばい。最大の理由はそれ。
【解答】
最大の理由は、自社製品のたばこ産業の市場が衰退しているためである。具体的には、①健康志向の強まり、禁煙者への批判、受動喫煙の社会問題化で需要が低下、②後継者不足等でタバコの生産が減少したことである。
と作成した。ふぞろいによる採点では10点であった。
この私の解答の問題点は、設問文にある制約条件を無視している点である。
上記解答では、従来のたばこ産業(葉タバコ乾燥機の製造販売)の苦境に陥った外部的な理由を答えているだけで、「苦境を打破するために行った自社製品のメンテナンスを強化したこと」についての観点(言及)が抜けている。衰退市場は成功しなかった理由の1つとして考えられない事はないが、これでは回答として不十分である。※EBAでは衰退市場は理由にならないとしている。それについての記事を読むとなるほどと思う。ちなみに、EBAに再現答案を提出して採点してもらったところ、私の解答は2点であった。
結果的に、与件文の「メンテナンスを事業化することに取り組んだ」という文のすぐ後に書いてある「売上減少」と「費用増大」と言う関連ワードもほぼ無視した解答になっている。
完全に思い込みに支配されている。衰退市場を最大の理由に置いて、その具体例をうまいこと並べれば大体100字になると想定できてしまったことも、思い込みに拍車をかけた。※過去にフィリップモリスの株式を保有しており、損切りしてお別れしたという個人的な過去も影響している可能性がある。
今考えればわかることでも、試験時は「衰退市場こそ全て」と思い込んでしまっていた。余裕がなかったから、解答の糸口をなんとなく見つけられてしまったことで安易にそれを選んでしまった。
自力で辿り着いたアイディアは本人にとっては特別でのぉ…大した考えでなくとも大変な閃きに感じられ、なんの吟味もなくあっさりそれに沿おうとする…!疑い続けること、不安であり続けること、こそがギャンブルで生き残るための心構えなのに素人ほどそれをすぐに捨てる。言い替えれば…すぐ…肚を括る。
『カイジ』の中の好きな名言の一つ。これは、ギャンブルだけに当てはまるものではなく、創作活動やアイデア出しの時等でも使える人間の真理だなと思っている。自戒の念で意識しているつもりだが、試験中はまさにこれに陥ってしまった。
制約条件を解答作成前に確認する事は去年もしていたように思う。。ただ、解答の方向性を決めてしまった後からだともう遅い。後から「メンテナンス事業」という制限を解答に加えたら、書くことが分からなくなる、記述量が半分になる、という恐怖もあって後戻りできなかったのかもしれない。そういう怖さが本番にはある。制約条件の確認は早めにやらなければならない。
Keep
Problem
Try
①安易な思い込みによる読解や思いつきによる解答をなくす。
②設問文の制約条件に合致しているか確認しながら解答要素を丁寧に絞り込む。
③制約条件について与件文に書かれていることが解答に反映されているか確認する。
具体的な対応策も考えないと。(これ大事)