こんにちは。
『Stray Blues』に出会ってからというもの、Beckの過去のシングルを買い漁っては、B面曲を聴きまくるという充実した音楽ライフを過ごしております。そこで出会った曲たちがkosei的で想像以上に良かったので、聴きながらレビューをしていきたいと思います。
シングル『Loser』
第一弾は『Loser』のB面です。このデビュー曲のリリースによって、Beckは一躍時代の寵児となりました。「I’m a loser baby, so why don’t you kill me?(オレは負け犬。オレを殺したらどうだい)」という一説が有名。この自嘲的な歌詞がレディオヘッドの「Creep」と比較されたりもしました。1993年の作品なので、もう27年も前です。
それでは『Loser』のB面、6曲を聞いていきます。
「Corvette Bummer」★★★★★
Beck - Corvette Bummer (Loser single)
ザクザクした16ビートのリズム、シンプルで荒削りなベースのリフ。これ等の音だけでワクワクしてきますね。そこに左右からヘンテコなシンセの応酬。これよ、これ。どの音もゆるいんですが、混ざり合った時の絶妙な一体感!すごい好きです。中盤にはスクラッチノイズも入ってきたりして、ノイズのセッションが繰り広げられます。ノイズなんだけどガーガーうるさいんじゃなくて、キャッチーなのよ。辛いのに甘い。担々麺のような表現が似合います。「Totally Confused」と双璧をなす隠れた名曲ですね。オリジナルアルバムに未収録なのが本当にもったいないです。BECKファンは間違いなく好きだし、BECKファンでない人にもオススメできる一曲!
「Alcohol」★★★★
これもアコギの弾き語りで始まります。ステレオで鳴るアコースティックギターのストロークの響きが心地よく、作業用BGMとするのには申し分ない質感。
単調に進んでいくなと思っていたら、バスドラムがドン! マラカスがシャカシャカ。あと謎の打楽器がポクポク。そこに2本のノイズが乗っかる。ゆるい。ゆるいけど、これは良いジャムセッション。てか、この人、普通に1曲終われないんですかね。 いや、そこが好きです。このジャムっぽいところを延々と聞いていたいんです。。
「Soul Suckin Jerk (Reject)」★★
Beck - Soul Suckin' Jerk (Reject) (Loser single)
アルバム『Mellow Gold』に「Soul Suckin Jerk」が収録されていますが、これは別物ですね。16ビートとベースのリフが骨格で「Corvette Bummer」にかなり似た雰囲気なので、ちと低めの評価です。後半にオルガンのソロがあります。
「Fume」★★★★
ベースとドラムをバックに歌い始め、コーラス(サビ)でアコギとノイズギター、タンバリンが重なる。なんともハッピーなガレージサウンドです。
しかし、これまた2分でいきなり終わって、なんか仲間内で話をしてるなと思ったら、まったく別の曲が始まります。ヘビーなバンドサウンド、そしてシャウト、ウニウニしたヘンテコなシンセサイザー。なにこれ。最高だよ。バカバカしくて、もう幸せです。会社の昼休みに一人でニヤニヤしてます。(※聞き直したら、別の曲ではなく、元の曲をメタメタにデストロイして歌っているようです。)
当時のLive映像もありました。2:30からは完全にニルヴァーナです。若い。素敵。
「Totally Confused」★★★★★
過去記事ご参照ください。私をベック沼に引きずり込んだ悪魔的な1曲。ローファイの極み。最高です。
「MTV Makes Me Want to Smoke Crack」★★★
Beck - MTV Makes Me Wanna Smoke
アコギの弾き語りで始まります。初期Beckのアコースティックな一面の曲だな、ふーん、と思っていると、いきなり曲がストップ、、、ジャジーなピアノが始まり、、、それに合わせてBeckも歌いだす。え!まさかのジャズボーカルもの!? これなんやねん。初めて聞いた時は戸惑いましたが、繰り返して聴くと結構クセになってきます。※「Loser」より以前に、インディーズのレーベルでこの曲がA面でシングルが出ているようです。マジかよ。アメリカってすごい。意味不明。
まとめ 1曲に2曲詰め込みたい症候群
遊び心をそのままパッケージしたような粒ぞろいの6曲、最高ですね。1st『Mellow Gold』ほどまでは完成されておらず、『Stereopathic Soulmanure』や『One Foot In The Grave』ほどラフでもない、初期3つのアルバムの中間に位置する曲達だと思います。要するに、最高です(2回目)。
1st『Mellow Gold』も粗削りでふざけている感じは十分にあるんですが、これらのB面と比べると、アレンジがまとまっています。遊び心を曲の装飾にしたり、アクセントにしたり、編集が上手です。 良くも悪くも「良い感じ」なので「クレイジーさ」というか「はみ出してる感」というか「何でこれやったの?感」といったエッセンスが削ぎ落されてる気がしてしまいます。いや、それも好きなんですけどね。
Fuckin With My Head (Mountain Dew Rock)
B面曲。どれも個性豊かだったので、レビュー書くのもすごく楽しめました。
友達が集まったからとりあえ録音してみる?って感じでセッションして、それをまた皆で聞き直してゲラゲラ笑っているような様子がが聞いていると浮かんできます。ありがとう、ベック。
まだまだ面白いB面曲はあるので続く(かも)。
※追記:予想外に続いたので、まとめページを作りました。
余談ですが、、、B面曲を調べるためにWikipediaを参考にしたのですが、『Loser』のシングルはバージョン違いが沢山あり、それぞれ収録しているB面曲が異なります。(なんて面倒なことをしてくれるんだ。。)これ等を聞くために日本盤とUS盤の2枚を買いました。デザインも少しずつ違います。探せば中古で安く手に入りますよ。マストバイです!
日本盤。「Totally Confused」「Corvette Bummer」「MTV Makes Me Want to Smoke Crack」収録。
US盤。「Corvette Bummer」「Alcohol」「Soul Suckin Jerk (Reject)」「Fume」収録。